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金型屋がゴルフのパターヘッドを5軸加工機で加工!(#1)高級品と同等レベルの加工実績を紹介

ゴルフのパターヘッドの完成写真

こんにちは!関東製作所 岐阜工場の安田です。今回は我々部品ソリューショングループで手掛けた製作事例を紹介させて頂きます。

普段目にするモノがどのようにがつくられているかを知る機会という事はなかなかないものですが、長くモノづくりに携わる中で幸いにしてそういった機会が巡ってくることがあります。自分たちでつくった製品を町で見かけるとなかなか嬉しいものです。そういった嬉しさが、これからもモノづくりに携わっていこうというエネルギーに、時としてなるものとも感じています。

と感傷に浸るばかりではありませんが、今回は図らずして製作する事となったゴルフのパターヘッドの製作事例を紹介させて頂きます。

5軸加工機を使用したゴルフのパターヘッドの製作依頼

ゴルフクラブのイメージ写真

 

ことの発端は、当社のWebサイトを見た企業様からの電話問い合わせでした。

“5軸加工機を使用してパターヘッドをつくって欲しいけど可能ですか”

問い合わせと同時に、我々部品加工の部隊に話が展開されました。話を聞いた時、少々テンションが上がったかもしれません(笑)。私も少しだけゴルフをしますが、パターのヘッドが、「何で?」「どのように?」つくられているかは、多くを把握しておりませんでした。

ちなみにですが、今つくられている主な工法は、

  1. 鋳造+切削+仕上(メッキや塗装)
  2. 削り出し(切削)+仕上(メッキや塗装)

ではないかと思います。
今回は2の『削り出し(切削)+仕上(メッキや塗装)』にて製作しました。1の鋳造パターンについては別の機会に紹介をさせて頂こうと思います。

 

パターヘッド加工! 削り出し + 仕上げの工程

詳細は以下です。

材質:ステンレス(SUS303)
※ステンレス材はSUS304がポピュラーですが、切削性を考えた場合、SUS303の方が有利等の理由でSUS303をほとんどの場合で採用しています。

工法:マシニング切削加工(5軸加工設備使用)

関東製作所岐阜工場の加工現場写真

 

製作におけるポイントは、

  1. 材料調達(特殊材のご要望有)
  2. 機械加工をする際のプログラム(CAM)
  3. 製品をいかにきれいに仕上げるか
  4. そしてもちろんコスト!

です。一つ一つ細かくご紹介いたします。

材料調達 GSSの代替品『SUS303』

当初は世界的にかの有名なSC社使用の『GSS』というステンレス材での製作希望でした。

パターといえばSC社という事もあり、パターを新しく製作するとなれば、そこで使用しているGSS材を使って是非製作したいとのお話もあり、「GSSとは何ぞや?」という事から確認をしていきました。

その結果、「MADE IN GERMANY」の『G』「STEEL&STAINLESS」の『SS』という事で、ドイツ製のSUS303を調達せねばとなり、あらゆるルートをあたりました。幸い調達は可能だったんですが、なんせ『少量』かつ『輸入』の必要もあり、費用がかさんでしまう事となります…。

最終的には物性的/性能的にほぼ同等の材料である日本製の『SUS303』を使用する事となった次第です。

 

機械加工プログラム『CAM』でデータ作成

CAMの設定画面イメージ

 

加工をする為のプログラム作成を行う中で、まずは形を実現すること。その後、いかに効率よく加工できるかの検討を進めました。

CAMデータの作成は、切削加工を行う上で最も重要で核になる事は間違いありません。もちろん経験や実績がものをいう工程ではありますが、今回のパター製作は、はじめての経験でもありますのでテストカットを重ね検証を進めました。

 

要求された仕上がりは『切削目』!いかにきれいに仕上げるか?

きれいな『切削目』の写真

 

切削加工の段階においては、外観部の仕上げをどこまで追い込むかという事に主眼を置きました。

正直申しますと、時間をかければきれいな製品が出来上がる事はわかっていましたが、後述のコストとの関連が出て来ます…。後加工で塗装やメッキの工程となればまた話は別ですが、今回の最終仕上げは『切削目』を希望されておりましたので、少しでもきれいに仕上げるよう検討を進めました。

 

コストよりも経験やスキルの蓄積を優先!

これはちょっと乱暴な言い方かもしれませんが、今回は “あって無いようなもの”かと…(笑)。

本来モノづくりにおいては、『使用用途』、『満たすべき品質』、『必要数量』などの諸条件を満たした上で予算計画を立て、それに則して進めていく事となります。

しかし今回の場合は、
品質は高級品に引けを取りたくない
必要数量はとりあえず1個
価格目標は市場で販売されているパターと比較してそれ相応
となれば “あって無いようなもの” となりますね。

ただつくり手としては、前述の自分たちがつくったものが(今回は町で見かける事はありませんが)大事に使って頂ける、つくった事自体が経験やスキルとして蓄積され自分たちの財産となり、今後の仕事に生かされる事の方がはるかに価値のあるのではないかと思っています。

 

これも様々なお客様と接する事が出来ているからこそであり、その成果だと思います。
御覧の皆様には、我々に色んな仕事をさせて頂けるような、いろんなご要望を是非聞かせて頂きたいと思います。

 

仕上りの切削目をご覧ください

きれいな『切削目』の仕上がり写真

 

オーダーして頂いたお客様は到着したその日のうちに、パターヘッドにシャフトを指し、グリップをつけ、その次の日にはラウンドに使用されたとの事でした。
使い心地もよく、大変満足して頂けたようで非常にありがたかったです。

幸いな事にこれにとどまらず、次回の製作予定も見えてきました。
上記の通り経験を生かして、次はもっと満足して頂ける製品をつくれよう頑張っていきたいと思います。

皆様、是非いろんなご要望を弊社へぶつけて頂ければと思います。
株式会社関東製作所はグループ一丸となり、保有設備量と加工技術の豊富さを活かした、コストダウン提案や納期短縮など、お客様ニーズに最適な部品加工・調達にお役立ちいただけます。

まずは簡単なご相談からでも、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい。

 

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