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リバースエンジニアリングの活躍どころを抑える 図面やデータの無い金型・製品も復元可能に!

ポリゴン化されたデータをサーフェス化

製造業界に従事する皆様、また樹脂製品を手掛ける設計者様、こんにちは。株式会社関東製作所、営業2課の渡邊です。今回この記事でご紹介するのは、『リバースエンジニアリング』です。

私が所属するブロー事業部は、金型やプラスチック製品を製造するにあたり従来通りの製造方法にとどまらず、様々な工法を駆使してお客様要望を実現しております。

リバースエンジニアリングとは

リバースエンジニアリングとは、リバース(逆行する)エンジニアリング(設計・製造)を複合した言葉で、設計から始め製造を行う通常の製造工程とは逆に、既に製品がある状態から更に新しい物を生み出すための手法の一つです。

 

図面のイメージ画像

 

本来の用途では、他社製のソフトウェアやハードウェアを解析・分解する事によって自社製品を開発する為のヒントを得る為に使われるものでした。

関東製作所では、自社製品を開発する為にリバースエンジニアリングを行う事はありませんが、2D/3Dデータの無い金型や製品を更新・復元する為に利用する事があります。
本稿では、金型の更新・復元に伴ってリバースエンジニアリングを行う場合の流れを紹介していきます。

 

リバースエンジニアリングを利用した金型製作

弊社が対応したケースとして最も多いのは、耐久年数の過ぎた金型を更新する場合です。

ここ10年位で製作された金型は3Dデータを元に製作している場合が多く、データさえ残っていれば金型の更新は容易です。しかし20年以上前に製作された金型の中には、木型から鋳造で製作された物も多く、データ自体が存在しない事も多々あります。

他にも、サーバートラブルによりデータが消失した場合や他社様から移管してきた金型を更新したい場合等、データが手元にない場合には製品データも含め全てを1から作成していかなければなりません。

 

金型のイメージ画像

 

上記のような場合にリバースエンジニアリングを利用する事は非常に有効で、データが存在しない状態でも金型か製品が残っていれば更新や復元が可能です。

また弊社の事例では、破損してしまった治具や部品等も3Dスキャンを併用して復元する取り組みも行っております。持ち込みの品物を復元する事も可能です。

 

リバースエンジニアリングでの対応が難しいケース

次のようなケースに当てはまる場合はご対応が出来ません。

特許権、意匠権、著作権等、知的財産関連の法律上で問題がありそうな場合

一般的に販売されている製品をリバースエンジニアリングにより分析して情報収集する事は違法ではありませんが、知的財産権で保護されている物をコピーして新たに製品化する事は非合法と判断される場合がある為にご対応出来ません。

他社製造の金型・製品を不正に入手していた場合

自社に権利の無い金型や製品についても、権利者の許可なくリバースエンジニアリングする事は出来ません。

[関連記事]
> プラスチック製品の製作工法『3Dプリンター』が活躍するシーンとは? 造形方法ごとの特徴を知る

 

リバースエンジニアリングの手順

スキャンからデータ化されるまでの手順

それでは製品から3Dデータを作成する流れをご紹介します。今回は以前の記事でも紹介した、『リボン形状のパーツ』を復元した工程に沿ってご紹介します。

手順①三次元測定機による製品のスキャンニング

まずは、3Dスキャナーを使用して製品をスキャンします。

3Dスキャナーで計測している様子の写真

 

手順②CADにデータを取り込み、点群データとして出力

スキャンした製品は形状の頂点が点データで表現された『点群データ』としてCAD上で出力されます。既に製品の大まかな形状はわかりますが、このままではデータ上で形状を変更する事や機械加工に通す事が出来ません。

CADにデータを取り込み、点群データとして出力

 

手順③点群データをメッシュ化

出力された点と点を線で繋ぎ合わせる事で点群データに形状を付けていきます。(メッシュ化)

点群データをメッシュ化

 

手順④メッシュ化されたデータをポリゴン化

メッシュ化された形状に面を貼り、製品形状をより明確にしていきます。(ポリゴン化)

メッシュ化されたデータをポリゴン化

 

手順⑤ポリゴン化されたデータをサーフェス化

ポリゴン化しただけではデータ容量が膨大になるため、面と面をさらに滑らかに整える事で余計な面数を減らします。(サーフェス化)

※製品として必要な面なのか、意図しない面なのか(スキャン製品の傷等)を見極める作業が必要になる為、お客様の承認を得ながら作業を進めます。

ポリゴン化されたデータをサーフェス化

 

ここまで①~⑤の工程を経てサーフェス化すると、初めて製品データとして加工に使える状態になります。
そして、下記写真が完成したデータを基に、3Dプリンターで製作した実物の製品になります。

3Dプリンターで製作した製品

 

上記の工程は一つ一つに手間がかかる為、スキャン→CAD化まで別々の会社に外注する場合もありますが、関東製作所ではスキャンからCAD化まで社内一貫体制で対応する事が可能です。

 

まとめ

今回はリバースエンジニアリングについて、その活用シーンや具体的な手順をご説明しましたがいかがでしたでしょうか。

古びて使えなくなった金型を再活用したいが、図面やデータが全くない…。
プラスチック製品の現物だけがあり、これを複製したい…。

このような場合は、リバースエンジニアリングで問題解決できるケースが多々あるでしょう。
弊社では、現物を3Dスキャンニングできる三次元測定機を数台保有しており、さらに協力会社も含めると、かなり大型の製品までスキャンする事が可能です。

また、金型の製作が不要な場合でも3Dモデルのみ作成するご依頼も承っております。製品の更新はもちろん、破損・消失によりお困りのお客様はぜひ一度ご相談いただければと思います。

 

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