サプライチェーンの国内回帰のメリットを考える|部品加工現場でのQCDを再検証

サプライチェーンの国内回帰のメリットを考える|部品加工現場でのQCDを再検証

(株)関東製作所 次世代価値創造部の安田です。本記事では、「部品加工」の領域で、弊社が感じる「サプライチェーンの国内回帰」のメリットを紹介させて頂きます。

部品加工サプライチェーンの国内回帰

モノづくりにおいては、日常的に様々な困りごとは多かれ少なかれ皆様お持ちかと思います。
品質コスト納期、その他(サービス等)等。そのどれかが満足されなければ、製品として成り立っていきません。

今回は、あるクライアント様からのご依頼に対し、金属部品加工の調達においてサプライチェーンの国内回帰で成功し、QCD面(Quality-品質、Cost-コスト、Delivery-納期)でご満足いただいた事例をもとにお話いたします。

 

国内回帰の気運の高まりで明らかになる「メイドイン中国」の課題

きっかけは、おりしも当時は新型コロナウイルスが広がりはじめた2020年頃でした。
コロナ発生源が中国ということもあり、部品供給のリスクも叫ばれていた時です。弊社のクライアント様でも、多くの部品を中国で製作されており、実際に供給が出来ないということも起きていました。

 

あるクライアント様で、当時中国で製作したものを輸入し使用されていましたが、サプライチェーンの問題に直面し、日本国内での調達をご検討されているところで、弊社へお声掛けを頂きました。当時の課題としてサプライチェーンだけでなく、メイドイン中国の品質についても問題を抱えられていたと記憶しています。

 

部品加工中の写真

 

いわゆる、大きなロットで海外へ発注し、コストメリットを出すということはセオリーといえばセオリーですが、品質の問題が出た際にはQCDの面で大きなビハインドとなります。そういったことも日本国内回帰へ舵を切られた大きな理由のひとつでしょう。

 

QCD面での国内回帰のメリット

この件は、丁度中国で製作していた部品を使用するモデルが生産終了を迎え、新しいモデルへの切り替えという環境下であったため、検討しやすかったのは事実ではあります。

Q:品質面でのメリット

品質面について重要なポイントは、まずは図面や指示の内容を厳守することは出来て当然。その上で、トラブルが起こった時の具体的な対応のシミュレーションが出来ているかどうかによってくるでしょう。

中国製作から日本製作へ変更されることにより、距離的なアドバンテージを得たことになります。いわゆるトラブル発生時の対応は、格段にスピードアップされますし意思疎通も改善されます。もちろん技術的には要求を満足することは言うまでありません。

 

つまり国内回帰のメリットとしては、顧客の要求する精度の部品を、求められる納期で完遂するための環境整備の確保が、品質面での保証を提供することになるでしょう。

 

金属部品の図面イメージ

 

C:コスト面でのメリット

今回の場合はもちろん目標価格があり、それに整合させることが必要でした。そのアプローチの方法は様々ですが、例えば経済ロットでの発注提案があります。

製造サイドでの効率を重視することとなりますが、こちらは時として需給のバランスで折り合いがつかないことが多く、対応が限られます。利益を切り詰めることも検討しますが、これは最終手段であり、結果長続きしないことも多いかと思います。やはり、双方がWIN-WINとなる方法を導き出さなければなりません。

中国華南地区から日本へは『2~3週間』程度

通常、中国華南地区から日本へ海上輸送で製品を運んだ場合、『2~3週間』程度かかります。これが国内製作であれば、最短では『翌日納品』も可能でしょう。

流動在庫を抱えるというリスク

量産品の継続生産品で海外製作対応の場合は、その輸送分の流動在庫が存在します。仮に輸送され手元に製品が届いても、製品そのものがNGとなってしまった時には既に多くの在庫を抱えているということになります。
その際の具体的な対応はどうなるでしょうか。

金属部品のイメージ写真

 

流動在庫が入荷した際は、その都度、検査、製造現場の状況確認、NG品の破棄/手直し、原因の究明及び、対策案の検討を行って良品の生産を再開することとなります。つまり国内での受け入れ検査費用、NG品の破棄や手直しの対応費用、納期を間に合わせるための緊急対応の物流費など、余分で多額な費用が発生してしまいます。
残念ながら、海外生産品の部品のトラブルで挽回対応が重なりその対応コストがかさんでしまいトータルでは国内生産品よりコストがかかるケースを多く見てきたのも事実です。

それと比較して国内生産の場合、決定的に違うのは輸送中の流動在庫が存在しないということでしょう。

挽回品の対応のコストも、物流費が多くかかるということはありません。また、製造の現場把握も容易に出来るので、状況を的確に把握でき、対策についてもより適切な内容で迅速に処置が可能となる点でも非常に優位と言えます。

 

D:デリバリー(納期)面でのメリット

こちらも日本製作へ変更することにより距離的なアドバンテージをえられます。

海上輸送で納期に時間がかかる海外生産品と比較して、出来上がったらすぐ持ち込んで納品出来る日本製作は、格段にメリットがあります。また仮に設計変更が発生した場合、リードタイムが長く流動品が多く存在してしまう海外生産品に比べ、国内生産では適切な在庫で流動するため、設計変更の対応を迅速に行うことが出来ます。

関東製作所岐阜工場の風景写真

 

もちろん国内生産が完全という訳ではありませんが、生産品の数量や背景等を考慮し、国内生産を行う/切り替える判断も必要と考えています。

 

国内での部品調達はお任せください

海外調達から国内調達へ切り替えをご検討の際は是非ご相談下さい。
弊社(株)関東製作所では、自社工場含め国内の協力メーカーのネットワークを展開し、様々なご要望にお応えしております。

関東製作所の浜松工場内の写真

 

海外から国内へ生産を移すことは容易なことではないかと思いますが、上記の他にも成功した事例は多くあります。上記にてご紹介させて頂いた内容はあくまで一例で、他にも様々なケースがあることは理解しております。
我々は、クライアント様が抱えてみえる問題をその場合に促した最適なご提案をさせて頂くアイデアと経験を有しております。些細なことでももちろん構いませんので、ぜひお声掛け下さい。

 

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