金型メンテナンスの重要性を知る 定期的な金型補修はトータルでコストダウンにも繋がる!
金型
プラスチック成形に携わる皆様、こんにちは。株式会社関東製作所、ブロー事業部営業の渡邊です。今回の記事では『ブロー成形金型のメンテナンス』に関して、その重要性と内容の詳細を一部、ご紹介したいと思います。
弊社で製作しているブロー成形用の金型では、数万ショット以上のプラスチック製品を成形する事が出来ますが、安定して成形を続けるには定期的なメンテナンスが欠かせません。
例えば成形時に付着する『樹脂ヤニ』や『カス』の清掃はもちろん必要ですが、配管の中まで定期的に清掃しなければ成形不良や金型破損に繋がってしまいます。
今回は金型メンテナンスや修理について実例を交えてご紹介して参りますので、ぜひ最後までお付き合いいただければ幸いです。
目次
ブロー成形金型で特に多いメンテナンス項目
ガス抜きのための穴やバキュームの詰まり
成形品の量産が開始されて数年経つと、今までは発生しなかった場所にシワや折れ肉等の不具合が発生する事があります。このような場合はガス穴が樹脂のカス等により詰まっていることが多く、成形時にエアー溜まりが発生してしまい、そのような不具合の原因となります。
対応としては、ガス穴の詰まりを手作業で取り、付帯部品を外した後に薬剤により樹脂カスを取り除きます。必要に応じてベントの交換やバキュームのシリコンを再塗布する事により、元通り安定してガスを逃す事が出来るようになります。
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パーティングライン(PL)やコッターの損傷
成形時にPLの切れが悪くなっている場合は、PLやコッターが潰れていたり、ガイドブロックに損傷がある事があります。
成形時に70~200トン程度の型締め圧力の掛かるブロー金型はPLやガイドブロックが摩耗しやすく、何万ショットも成形するとPLが潰れていきます。その状態を放置したまま成形を続けると、真っ直ぐに型が締まらなくなり、成形品にグイチ(段差)などが発生する原因の一つとなる他、次に示した右側の写真のように、ブッシュ内でガイドピンが折れてしまう事もあります。
このような場合にはPLを溶接し再加工、そして擦り合わせを行い、PLの切れの良さを復活させます。状態により、さらにガイドブロック・ピンの交換まで行えば、安全に金型を開閉する事が出来るようになります。
金型本体の錆とシリンダーや配管の劣化
金型を数年間使い続けるとシリンダーや配管等の部品にも不具合が発生し始めます。水冷のパイプには金型内部から流れ出た錆の成分が付着し、詰まりの原因となり、熱や埃等によりシリンダーの摺動も悪くなってきます。
また保管の環境も重要で、油を指さずに放置すると錆が発生したり、日光などの紫外線でパイプにひび割れが発生したりします。
大抵の汚れはクリーニングで綺麗に落とす事が出来ます。また配管のひび割れの場合は交換。
金型が錆びてしまった場合にはサンドブラストで錆を吹飛ばすなどの処置が必要です。
金型に必ず訪れる『経年劣化』
ここまでで紹介したように、金型を丁寧に扱っていても樹脂のカスやヤニは少しずつ金型に蓄積されていきます。そして成形時には非常に強い力で金型が閉じられるため、パーティングライン(PL)やコッターはいつしか潰れていきます。
他にも水冷や油圧シリンダーの配管が詰まってしまったり、バキューム機構のゴムパッキンが割れてしまうような事もあり、定期的なメンテナンス無しには金型を長期間運用する事は出来ません。
ブロー成形の金型は、他の成形工法に比べ金型費用が安く抑えられるとはいえ、製品開発プロジェクトにおいては決して『安いイニシャルコスト』とはなり得ませんね。
故障や不具合が発生した際、簡単に新規の金型を立ち上げ直す事は難しいです。
「少しくらい壊れていても…」「今月はあと100しか打たないから…」などと改修時期を先延ばしにしていると、修復不能な状態に陥ってしまったり、重大な事故に繋がる危険性もあります。
適度な金型メンテナンスはコストを抑えることにも繋がる
今回の記事では、既に不具合が発生している金型からメンテナンスの事例をご紹介致しました。
実際には頻繁なメンテナンスを行う事は難しいかもしれませんが、軽微な損傷であれば費用も安く短納期で対応出来ます。せめて量産再開前や成形スケジュールに余裕があるうちに、ぜひともメンテナンスをご検討下さい。
関東製作所では自社で製造した金型はもちろん、他社様が製造した金型のメンテナンスも承っております。成形先移管に伴い仕様変更が必要な場合でもご対応可能です。
金型についてのお困りごとはぜひ関東製作所にご相談ください。
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