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製造現場における「ロボット」の導入について、ロボットの種類や概要、メリットを解説

ロボットの参考写真

製造現場におけるロボットの導入は、現代の産業界において不可欠な進歩となっています。自動化と効率化の追求、人手不足の解消安全性の向上、そしてグローバル競争の激化といった複数の要因がこの動きを加速しています。

これにより、協働ロボットのように人間と共に作業を行う安全なロボットの導入が可能になり、グローバル競争における競争力の源泉ともなっています。この記事では、これらのロボットの種類や概要を紹介し、製造現場におけるそのメリット・デメリット、更には導入における金額感まで詳しく解説していきます。

ロボットの種類

ロボットの種類には、様々な動作や構造を持つものがあります。

以下に、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット(通称:スカラロボット)、パラレルリンクロボット(通称:ゲンコツロボット)、直交ロボットについて、それぞれの動作や特徴をはじめ、メリット・デメリットから費用感まで詳細に解説します。

 

関東製作所メカトロニクス事業部が製作した協働ロボットを活用した自動機

 

垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットとは、多くの関節を持ち、三次元的で柔軟な動きをすることができます。これにより、複雑な動作や軌道を実現することが可能です。

産業用ロボットというと、この垂直多関節ロボットをイメージすることが多いかもしれません。それは作業範囲が広く動きの自由度が大きいため、汎用性が高いことに由来します。

 

メリット・デメリット

メリット デメリット
・柔軟性が高く、複雑な作業が可能
・限られたスペース内での作業や操作を得意とする
・多くの関節を持つため、制御が複雑
・アームが大きく重いため機械剛性は低い
・高速動作させるとアーム先端が揺れることや、オーバーシュート(目標点を行き過ぎること)しやすくなる

垂直多関節ロボットの参考イラスト

 

垂直多関節ロボットの費用感【ロボット単体:350万~500万】

垂直多関節ロボットは高度な柔軟性と精密な動作を提供するため、一般的に高価です。
価格は使用される部品、制御システムの高度さ、および導入されるアプリケーションによって異なります。

垂直多関節ロボットの参考写真

 

 

水平多関節ロボット

水平多関節ロボットは名称通り、水平方向にアームが動作するロボットです。

 

メリット・デメリット

メリット デメリット
・単純な構造であり、制御が比較的容易
・水平的な移動に特化しているため、速度や精度が高い
・上下方向の剛性が高いため、ピックアンドプレース(特定の物体をつまみ上げて移動し、定位置でリリースする一連の作業工程)での使用目的が多い
・動作がXYZ面の平面上のため、用途が限定されがち
・可動範囲も比較的狭い

水平多関節ロボットの参考イラスト

 

水平多関節ロボットの費用感【ロボット単体:150万~400万】

水平多関節ロボットは比較的シンプルな構造を持ち、水平移動に特化しています。そのため、一般的に垂直多関節ロボットよりも低価格です。

 

水平多関節ロボットの参考写真

 

 

パラレルリンクロボット

複数のアームを並列につないで1つのアームを構成するパラレルリンク構造を採用しており、複数のアームで1点のアーム先端を制御するため、非常に高速な動作が可能なロボットです。

 

メリット・デメリット

メリット デメリット
高い安定性と精度
・非常に高速な動作が可能
作業範囲が狭い
・重量物は扱えない

パラレルリンクロボットの参考イラスト①

 

パラレルリンクロボットの参考イラスト②

 

パラレルリンクロボットの費用感【ロボット単体:600万~700万】

パラレルリンクロボットは高い安定性と精度を提供するため、一般的に高価です。価格はロボットのサイズ、荷重容量、および精度によって異なります。

 

直交ロボット

直交ロボットは直交する3つの直線軸を持ち、直交座標系での移動が可能です。XYZ軸に沿った直線的な移動が主な特徴です。

 

メリット・デメリット

メリット デメリット
・直交座標系での移動のため、各軸の位置制御が容易
・各直線軸の仕様変更が可能なため、目的のニーズに添わせやすい
・他ロボットと比べると低価格
複雑な動きが苦手
・作業範囲に対し設置面積が広くなりがち

直行ロボットの参考イラスト①

直交ロボットの費用感【ロボット単体:200万~300万】

直交ロボットは直交座標系での移動が可能であり、多様な用途に適しています。価格はサイズ、精度、および導入されるアプリケーションによって異なりますが、一般的に中程度の価格帯に位置します。

 

直交ロボットの参考写真

 

 

協働ロボット

動きや可動範囲としては垂直多関節と似ています。

コンセプトは人と「調してく」ロボット。ある作業から人を省くのでなく、人と共に同じ作業を行うロボットです。

人がそばにいるときは安全な速度と力で動作し、人と接触した場合は安全に停止します。
人がいない場合には、非協働ロボットに近い速度で動作可能です。動作厚生労働省が定めるリスクアセスメント(労働安全衛生法第28条の3による危険性等の調査)を実施したうえで、安全措置(安全柵等)の設置は不要です。

 

メリット・デメリット

メリット デメリット
・安全柵分の面積、コストの削減が可能
・ロボット自体の重量も比較的軽いため柔軟なレイアウト変更が可能
・既存の生産ラインに省人化策として導入が可能
・ダイレクトティーチの採用によりロボットポジションの作成、修正が容易
・昨今、協働ロボット用のエンドエフェクタ(ハンド)も開発が進んでおり、ロボット⇔エンドエフェクタの同期が容易になってきている
・本体価格は非協働ロボットよりも高額
・作業工程から人を省く用途ではないため、予算の算出が困難
・モーター容量の省力化により、高速動作や剛性面では非協働ロボットに劣る

成形現場に自動組付け機を導入している様子

 

ロボットの費用感に関して

ロボットの費用は様々な要因によって異なります。本記事ではロボット単体での一般的な価格帯を示してきましたが、具体的な価格はロボットのサイズ機能精度、および導入先の業界や用途によって大きく異なります。

また装置にロボットを組み込むため、設計費用やその他の部品などの全体的な費用は、仕様によって異なります。

ご紹介してきた価格はあくまで目安です。目的にあわせて必要なロボットの種類やそのスペックを決定する必要があります。そのうえで、

予算と合うか?
手作業と比較してどれだけ効率が良くなるか?

などを比較検討して導入する必要があります。

 

まとめ

前述したように多関節ロボットは、種類ごとにメリット・デメリットがはっきり分かれます。それらを踏まえ、分野ごとの用途・仕様に合ったロボット選定をすることで、多関節ロボットが本来持つ「高い汎用性と柔軟性」を生かし、多様なシーンでの活躍が期待できます。

昨今 ロボットメーカーの傾向として、我々 SIer向けでなく、エンドユーザー様に対し使い勝手の良いシステムを取り入れる風潮が見られます。しかし高度なロボットをいざ購入してみても、本来の力を100%発揮できなければ、高価な買い物で終わってしまう可能性もあります。
実際に工場を見学させていただくお客様の中でも、工場の片隅で眠っているロボットを見かけることがあります。

 

プラスチックの成形品の二次加工に使用する専用装置

 

弊社 関東製作所ではお客様のニーズに合い、各ロボットメーカーの強みを生かした設備を検討し、ご提案させていただきます。
または省人化を推し進めたいが、「どこから検討すればいいかわからない」「検討の仕方がわからない」といったお声にも、弊社の技術・営業スタッフがお客様の工場に伺い、

「ここは機械化が可能ですね」
「ここを機械化することでこれだけのメリットが期待できます」

などのご提案も可能です。

ロボット導入、生産工程の省人化をご検討の際は、お気軽に株式会社 関東製作所にご連絡ください。

 

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