ヘミセルロース活用のバイオプラスチック「HEMIX」とは？ 世界最速の海中生分解速度の性質を知る

昨今、世界中でCo2の削減や、海洋プラスチック問題が取りざたされています。
「持続可能な社会の実現」に向けて各業界が環境対策に乗り出す中、合成樹脂業界においても、バイオ樹脂を利用する取り組みが台頭してきました。

今回は、弊社 株式会社関東製作所が、今特に注目しているヘミセルロース活用バイオプラスチックについて、『株式会社　事業革新パートナーズ様』にお話を伺いました。
ヘミセルロース活用バイオプラスチックの特徴や活躍どころをご紹介いたします。

ヘミセルロース活用バイオプラスチックとは？

ヘミセルロースとは？

ヘミセルロース（hemicellulose）とは、植物細胞壁に含まれる、不溶性であり非結晶性の多糖類の総称です。植物の細胞壁で、セルロースやリグニン各々を「結合させる機能」を担っています。

ヘミセルロースの生産量と実態

ヘミセルロースは、樹木・植物の約20％を占めます。年間18億トンにものぼる世界の木材生産量の内、ヘミセルロース産出量は実に5億トンも存在しています。
しかし、その利用率は1％未満で、ほとんどが廃棄され有効活用されていない現状です。

株式会社　事業革新パートナーズ様は、ヘミセルロースを原料としたバイオプラスチック樹脂材料の開発・製造に世界で初めて成功しました。また、バイオプラスチック樹脂材料を透明化・高度強化する独自合成技術を有しています。

同社は、「HEMIX」という商標で、ヘミセルロース活用したバイオプラスチックを多種類ラインナップしています。

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ヘミセルロース活用バイオプラスチック「HEMIX」

HEMIXは、ヘミセルロースの持つ特性のために、生分解性や流動性、透明性など多様な機能を備えています。

ヘミセルロース活用バイオプラスチックのメリット

従来のバイオプラスチック（PLA・PBS・PBAT・PHBH等）と比較した際の、HEMIXのメリットについてご紹介します。

海洋生分解性100％

HEMIXはその性質から、海中生分解性100％です。海の中で約100日間以内に、99%以上が生分解されます。
これは他のプラスチックやバイオプラスチックと比べて、世界最速の分解速度になります。

HEMIXは、海洋プラスチック問題解決の糸口となります。

各種製品の形状へ加工しやすい流動性がある

HEMIXは、植物由来の樹脂では珍しい、高流動性があります。そのため、成形性が向上したり、複雑形状や成形サイクルアップが可能です。

従来のバイオプラスチックとの混錬によって得られる、さらなるメリット

世界的に量産され知名度も高いバイオプラスチックPLA（ポリ乳酸）は、海中生分解性と流動性・耐熱性を最大の課題としています。
HEMIXをPLAに混錬することで、PLA物質の補完・強化が可能となります。

HEMIXの『活躍どころ』具体例

HEMIXは紡糸・繊維化にも適しています。現在、海洋プラスチックごみに占める比率が高いのは合成繊維です。それをHEMIXへ代替することにより、今後の環境負荷を大きく軽減することが可能となります。

以下は、ヘミセルロース活用バイオプラスチックやヘミセルロース活用100％バイオ繊維であるHEMIXの商品具体例です。

・包装容器/パッケージ品（食品・飲料容器、化粧品包装）

・農業/林業/漁業資材（農業フィルム、樹木ネット、釣り用具、肥料カプセル）

・自動車部品（内装部品・シート・フィルム）

・鉄道車両部（駅工事用柵・樹脂部品）

・航空機部品（機内食容器・座席・樹脂部品）

まとめ

このように、ヘミセルロース活用バイオプラスチックHEMIXには、多数のメリットがあります。

アフリカなどの地域における食糧難が世界的問題となっていますが、HEMIXは人が食べられるトウモロコシや大豆ではなく、非可食性の樹木を出発原料にしています。年間5億トンも廃棄されているヘミセルロースの活用は、それ自体が資源を無駄にしない環境への配慮です。

また、世界最高速度で海中生分解され、高い流動性を誇り、混錬によって他のバイオプラスチックの補完・強化を可能にします。

関東製作所は、今回取り上げたヘミセルロース活用バイオプラスチックHEMIXのような、バイオプラスチック関連の情報収集と実践試作に今後も取り組みます。
環境対策に敏感な顧客の要望にお応えすべく、時代に合わせた幅広いソリューションの提供を行ってまいります。

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