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『ねじ』の図面表記方法│おねじとめねじの違いから、種類や規格まで解説【製図基礎講座#5】

ねじは「機械要素」のひとつです。機械要素とは、機械を動かす・支える・固定するといった役割を持つ、さまざまな機械に共通して使用される部品や構造のことです。その中でも、ねじは「結合要素」に分類され、部品を固定・接合する役割を担います。
例えば、ボルトとナットで板材を締結したり、タップ加工した穴に直接ねじ込んで部品を固定したりと、あらゆる機械や製品に欠かせない存在です。

JIS規格では、ねじの図示方法や寸法記入方法が定められています。図面上でねじを正確に表記することは、設計意図を加工現場に正しく伝え、不具合を防ぐために非常に重要です。
本記事では、ねじの基本構造から分類・規格・図面表記のルールまでわかりやすく解説します。

ねじの基本構造

ねじには、外側にねじ山がある「おねじ」と、内側にねじ山がある「めねじ」の2種類があります。例えば、写真のようにボルトがおねじ、ナットがめねじになります。

ねじの各部名称は以下のとおりです。

・ねじ山:螺旋状の突起
・ねじ溝:ねじ山間の谷
・ピッチ:隣り合うねじ山間の距離
・おねじの外径:おねじのねじ山の頂部の直径
・めねじの内径:めねじのねじ山の頂部の直径
・谷の径:ねじ山の谷底部分の直径
・呼び径:ねじの公称直径(おねじの外径、めねじの谷の径の基準寸法が使われる)
・有効径:ねじ山とねじ溝の幅が等しくなる仮想円筒の直径
・有効ねじ部:ねじ山が完全な形状で加工されている区間
・不完全ねじ部:ねじ切りの始まりや終わりに生じる、ねじ山の形状が不完全な区間

 

 

ねじの規格

ねじの規格を理解する上で、まずはJISとISOの関係を把握しておくことが重要です。
ねじには「ISO規格」と「JIS規格」があります。ISO(International Organization for Standardization) は国際標準化機構が定める国際規格です。一方で、JIS(Japanese Industrial Standards) は日本産業規格のことで、日本国内の工業製品に適用される規格です。

現在は、国際的な互換性を確保するためにJISは多くの場面でISOに整合化されていますが、独自の規格も存在します。

 

メートルねじ(M)

メートルねじはISO規格をもとにしたねじで、日本のJIS規格もこれに準拠しています。国内で最も広く使われている規格であり、図面に登場するねじの大多数がこれにあたります。ねじ山の角度は60°と規定されています。

JIS規格に基づく寸法記入方法は次のとおりです。
基本表記は「M+呼び径(mm)」です。例えば呼び径10mmであれば「M10」と記入します。

また、メートルねじのピッチはJISで規格化されており、呼び径ごとに標準値が定められています。

ねじの呼び ピッチ おねじ
外径(呼び径) 谷の径
めねじ
谷の径(呼び径) 内径
M3 0.5 3 2.459
M4 0.7 4 3.242
M5 0.8 5 4.134
M6 1 6 4.917
M7 1 7 5.917
M8 1.25 8 6.647
M9 1.25 9 7.647
M10 1.5 10 8.376
M11 1.5 11 9.376
M12 1.75 12 10.106
M14 2 14 11.835
M16 2 16 13.835

※M18以上はJIS B0205を参照

 

管用平行ねじ(G)・管用テーパねじ(R/Rc)

管用ねじは、水道管や油圧機器などの「配管」を接続するために使われるねじの規格です。ねじ山角度は55°です。管用ねじには「平行ねじ(G)」と「テーパねじ(R/Rc)」の2種類があります。
平行ねじは機械的な接合を目的としたねじです。一方で、テーパねじはねじ自体がテーパ(先端に向かって細くなる形状)になっており、気密・水密を確保できるねじです。

 

ユニファイねじ(UNC/UNF)

ユニファイねじは、主にアメリカ、カナダ、イギリスなどで使われるインチ単位のねじです。記号「UNC(並目)」「UNF(細目)」で表記されます。航空機や米国製品で広く使われています。

 

 

ねじの図面表記方法

JIS規格では、おねじとめねじの表記方法がそれぞれ定められています。ねじは、頭部やねじ山の形状が複雑なため、線種(太線・細線)の使い方によって、簡略化して図示することが規定されています。

図面で使用する線の種類については、下記リンク先で解説しています。

> 図面における『線』の使い分け│線の太さ・種類・用途を解説

 

おねじの図面表記方法

おねじを図示する場合、ねじの外径(呼び径)を「太い実線」で描き、谷の径を「細い実線」で表現します。
軸方向から見た図では、外径は太い実線で、完全な円として描きます。谷の径は細い実線で、円周の3/4だけ円弧を描きます。

例えば、M6のおねじの場合は以下の図のようになります。

 

めねじの図面表記方法

一方、めねじの場合は、ねじの内径を「太い実線」で描き、谷の径(呼び径)を「細い実線」で描きます。この太線と細線の使い分けは、おねじとめねじで逆になるため注意が必要です。
軸方向から見た図では、内径は太い実線で、完全な円を描きます。谷の径は細い実線で、3/4の円弧で表します。
また、断面図でハッチング(切断面を示すための斜線群)を描く場合は、ねじの内径を示す太い実線まで伸ばして描きます。

例えば、M6のめねじの場合は以下の図のようになります。

なお、隠れたねじ(断面を取らない状態で内部に存在するねじ)を示す必要がある場合には、外径・内径・谷の径を含むすべての線を細い破線で表します。

 

おねじとめねじの組付け図面の表記方法

おねじとめねじが組み合わさった図面(断面図)を表す場合は、おねじの図示を優先します。具体的には、嵌合している区間ではめねじの線をおねじの線で上書きするかたちで描きます。嵌合部分でめねじの線を独立して描いてしまうと、図面が複雑になり読み間違いの原因になるため注意が必要です。

基本の図面寸法記入のルールについては、下記リンク先で解説しています。

> 図面の寸法記入ルール│寸法補助記号や記入法の正しい使い方を解説

 

 

ねじの分類

ねじには、用途や機能に合わせていくつかの分類があります。ここでは、「回転方向」「ピッチ」「条数」「ねじ山の形状」の4つの分類について詳しく解説します。

回転方向 ピッチ 条数 ねじ山の形状
右ねじ 並目ねじ 一条ねじ 三角ねじ
左ねじ 細目ねじ 多条ねじ 角ねじ
台形ねじ
丸ねじ

 

ねじの分類①回転方向による違い

ねじは締め付ける際の回転方向によって、右ねじ(正ねじ)と左ねじ(逆ねじ)に分けられます。

右ねじ(正ねじ)

右ねじは時計回りに回すと締まるねじで、日常的に使われるねじのほぼすべてがこれにあたります。特に指定がなければ右ねじとして扱うのが原則です。

左ねじ(逆ねじ)

左ねじは反時計回りに回すと締まるねじです。回転機械の軸など、使用中に右ねじだと緩む方向に力がかかる部分に使われます。扇風機の羽根を固定するキャップや、自転車の左側ペダルが代表的な例です。図面上では、左ねじの場合に限り「LH」を表記します。

 

ねじの分類②ピッチによる違い

同じ呼び径のねじでも、ピッチが異なる種類があります。

並目ねじ

並目ねじは、各呼び径に対して標準的に定められたピッチのねじです。最も流通量が多く、一般的な締結用途の大半がこれにあたります。JIS規格で呼び径ごとの標準ピッチが定められているため、図面上では並目のピッチを省略できます。

細目ねじ

細目ねじは同じ呼び径の並目よりピッチが小さいねじです。ねじ山の間隔が細かいぶん、噛み合うねじ山の数が増えるため、振動環境での緩み止め効果が高くなります。
細目ねじは図面上でピッチの省略ができないため、必ず明記します。「M10×1.25」のようにピッチまで記載されていれば細目ねじと判断できます。

 

ねじの分類③条数による違い

条数とは、ねじに刻まれた螺旋状の溝の本数のことです。条数によって「ねじを1回転させた時に軸方向に進む距離(リード)」が変わります。

一条ねじ

一条ねじは、1本の螺旋状の溝が切られている、最も一般的なねじです。「リード=ピッチ」になります。摩擦抵抗が大きく、緩みにくい特長があります。
普段目にするねじの多くは一条ねじですが、用途によっては複数の螺旋を持つねじも存在します。

多条ねじ

多条ねじは、螺旋状の溝が2本以上のねじです。二条ねじであれば「リード=ピッチ×2」、三条ねじであれば「リード=ピッチ×3」となり、1回転あたりの移動量が大きくなっていきます。一条ねじと同じピッチでも、1回転で進む距離が2倍、3倍と大きくなるのが最大の特徴です。少ない回転数での素早い締め付けや工作機械の送り機構など、速い直線移動が必要な場面で使われます。

図面上で多条ねじを指示する場合は、ピッチとリードの両方を記載します。一条ねじはリード=ピッチのため、ピッチのみの記載で問題ありません。

 

ねじの分類④ねじ山の形状による違い

ねじ山の断面形状によっても分類されます。大きく「締結用」と「送り・伝動用」に分けて理解すると整理しやすいです。

三角ねじ

三角ねじはねじ山の断面が三角形のねじで、締結用ねじの基本形です。ねじ山同士の摩擦が大きいため、締め付けたあとに緩みにくいという特性があります。ISOで規格化されており、機械の組み立てなどで使われる一般的なボルトやナットは、ほぼすべてこの三角ねじです。

角ねじ

角ねじはねじ山の断面が四角形のねじです。摩擦力が小さく、送り・伝動用として使われます。

台形ねじ

台形ねじはねじ山の断面が台形のねじです。図面記号は「Tr」で表します。送り・伝動用として使用される形状で、角ねじより加工しやすいため、広く使われています。

丸ねじ

丸ねじはねじ山の頂部と谷部が丸みを帯びた形状のねじです。図面記号は「Rd」で表します。砂・粉塵・異物が入りやすい環境でもねじ山が損傷しにくいのが特長です。

 

 

まとめ

ねじはあらゆる機械や製品に使われる、最も身近な機械要素のひとつです。ねじの種類は用途・形状・規格によってさまざまな種類があります。回転方向・ピッチ・条数・ねじ山の形状の違いを正しく理解し、図面上の表記ルールを把握することが、設計ミスや加工トラブルの防止につながります。

㈱関東製作所では、設計・製造の現場経験をもとに「製図基礎講座シリーズ」を展開しています。ねじ以外にも、図面を読み書きするために必要な基礎知識を解説していますので、ぜひ他の記事もあわせてご覧ください。

 

> 投影法や三面図など基本的な図面の見方を解説 【製図基礎講座 #1】
> 図面における『線』の使い分け│線の太さ・種類・用途を解説 【製図基礎講座 #2】
> 図面の寸法記入ルール│寸法補助記号や記入法の正しい使い方を解説【製図基礎講座 #3】
> 図面における『穴』の表記方法を解説│ざぐり穴の意味や、穴の加工指示まで【製図基礎講座 #4】

 

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